
ウィスキーは主原料によって色々種類がありますが、大きく分けてモルトウィスキーとグレーンウィスキーがあります。
モルトウィスキーは聞いたことがあっても、グレーンウィスキーは聞いたことがない人もいるでしょう。
または、グレーンウイスキーといえばモルトウイスキーとブレンドしてブレンデッドウイスキーを作るってためのウイスキーだという認識が結構多いと思いますし、実際そうなんです。
ここではグレーンウィスキーの特徴や原料・製法の違いなどを解説しています。
グレーンウィスキーと製法
ウィスキーはいろいろな原料を基に作られていますが、その原料の違いで大きく分けるとモルトウィスキーとグレーンウィスキーの2つに分けられます。
またモルトとグレーンを組み合わせたのがブレンデッドウィスキーです。
モルトウィスキーは原料がモルトつまり大麦麦芽のみを原料にしたウィスキーの事を指すのに対し、グレーンウィスキーはトウモロコシや小麦、ライ麦などの穀物を主原料にしたウィスキーのことを言います。

モルトウィスキーはポットスチルという銅釜の単式蒸留器で蒸留して作ります。
それに対しグレーンウィスキーはトウモロコシや小麦、ライ麦などの穀物と麦芽を原料として発酵させて、連続式蒸留器で蒸留させるので製法がモルトウィスキーとは異なります。
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連続式蒸留機の歴史
連続式蒸留機は1826年にロバートスタインさんが発明しました。
当時のスコットランドでは蒸留機の容量によって税金が決まっていたんです。
だから容量を増やさないで効率よく蒸留する方法はないかと考えて連続式蒸留器を発明しましたが、当時税務署の役人だったイーニアス・コフィーさんというアイルランドの方が、連続式蒸留機に目をつけます。
そして、1831年にそれを改良した2棟からなる連続式蒸留機を作り、なんと特許を取得します。

その蒸留器こそが、カフェ式連続蒸留機です。カフェスチールと呼ばれニッカウヰスキー創設者の竹鶴政孝さんが欲しくてしょうがなかったものです。
当時、カフェスチルは非常に高くて、ニッカウヰスキーでは手が出せませんでした。
その当時の筆頭株主だった今のアサヒビールの会長が竹鶴さんの思いをくみ取り設置することとなりました。
※正確には旭酒造がカフェ式連続式蒸留機をニッカに設置し、ニッカが生産したグレーンウイスキーを購入する形としました。そして念願のカフェ式蒸留機が設置され、ブラックニッカが誕生しました。

このカフェスチールですが、イーニアス・コフィーさんはアイルランド人でしたのでアイルランドでたくさん売り込みましたが、当時はアイリッシュウイスキーの3回蒸留で十分売れていたため、カフェスチルを買うところがほとんどありませんでした。
仕方なく、スコットランドのローランドに行き売り込みを始め、それがスコットランドで広まったという経緯があります。
連続式蒸留機に関する英語読みとして、カラムスチルやコンティニュアススチルなどがあり、何回も連続して蒸留するからです。
いろんな呼び方はありますが、イーニアス・コフィーさんが特許を取ったからその特許=パテントから、パテントスチルなどとも呼ばれました。
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グレーンウィスキーの特徴
その一方で、モルトウィスキーはラウドスピリッツ、声高なスピリッツと呼ばれており、深みが強く個性的な味わいがあります。
グレーンウィスキーはそれと比べてクセがない穏やかな性格があるため、サイレントスピリッツ、寡黙なスピリッツと呼ばれているのです。
モルトウィスキーは一樽ごとに個性が異なりますので、モルトウィスキーはクセが強く苦手という人も少なくありません。
そこでそのクセを緩和して滑らかで飲みやすくするために、モルトウィスキーにグレーンウィスキーをブレンドさせたブレンデッドウィスキーが生まれ、世界的に普及してきたのです。

モルトウィスキーの個性を抑えるためにグレーンウィスキーを加えると考えると、グレーンウィスキーはモルトウィスキーの脇役という見方ができます。
ですが実際にブレンデッドウィスキーを作る際には、最初にベースとなるグレーンウィスキーを決めてからいろいろなモルトウィスキーの個性を加えて作っていくと考えると、主役ともいえる存在なのです。
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グレーンウィスキーそのものも人気
グレーンウィスキーはモルトウィスキーに混ぜるものというイメージがあります。
ですが最近はグレーンウィスキーのみのシングルグレーンウィスキーも登場しています。
個性的という面ではモルトウィスキーには劣りますが、グレーンウィスキーは軽くてまろやかで飲みやすいだけじゃなく、個性はしっかりあります。

2015年から発売されているサントリーの知多はかなり売れています。また、キリンから発売されている富士は富士御殿場蒸留所で作られているグレーンウイスキーです。ニッカからはカフェモルトとカフェグレーンが発売されています。
日本では、グレーンウイスキーが普通に発売されていますが、世界的にみるとグレーンウイスキーはかなり少なく、オフィシャルでの発売は珍しいです。
やはり、グレーンウイスキー=ブレンデットウイスキーに直結しがちで、嵩増し用とかコストが安いのでまずいというネガティブにとらえられがちですが、今の時代はグレーンウイスキーを丁寧に作っている蒸留所は山ほどありますし、大手ではちゃんとグレーンウイスキーの個性を持たせようとしています。
知多や富士御殿場蒸溜所は3タイプのグレーン原酒を作り分けて、その後に樽詰するのでその樽のタイプでも全然味わいが変わってきます。
バーボン樽、シェリー樽、新樽も使いますし近年発売された限定版の知多は桜樽を使ってるものもありました。
最近出た「響ブロッサムハーモニー」はまさにさくら樽貯蔵だと推測する人も多くいると思います。
そして、その後熟成期間をきっちり設け、12年熟成のブレンデットウイスキーだったら、法律上でもグレンウィスキーを12年以上寝かせないといけません。
ただし、スコットランドの法律で、日本にはそういう法律はありませんが、多分日本もそれに従ってるとは思います。

だから響30年だったら30年以上熟成したモルト原酒と30年以上熟成したグレーン原酒がブレンドされているということですので、
原料のコストは安くても熟成年数にかかるコストは非常に高くなります。
グレーンウイスキーの定義とは
グレーンウイスキーは「モルト以外の穀物を連続式蒸留機で蒸留する」ことが一般的な定義となっていますが、実際は定義はそんなにありません。
日本での定義は簡単に言うと「麦芽で穀物を糖化して蒸留する」ことです。

ですから、すべてのウイスキーは「麦芽を使って糖化」しているので、裏のラベルを見るとモルト、グレーンと書いてあります。
カフェモルトはモルトしか入っていませんが、連続式蒸留機で蒸留をしています。
ですから、シングルモルトとは名乗っていません。また、2021年4月に海外原酒を使っているとの発表があり、日本であれば一箇所の蒸留所で作ればシングルモルトと名乗っても法律的には問題はありませんが、海外原酒を使ってるとなるとさすがにシングルモルトとは名乗れないです。
グレーンの原料としてはかなりバラバラです。例えば富士や知多のメイン原料は主のトウモロコシとプラスして他の穀物を使っています。
カフェモルトは原料が大麦麦芽原料ですが原料が違ったら全然味が違うので、例えば知多だけ飲んでグレーンはちょっと合わないなって決めつけるのは早いです。

一番有名なアメリカンウイスキーであるバーボンウイスキーは理屈からいうとすべてグレーンになります。
ですから、バーボンウィスキーの裏を見ると全部グレーンと書いてあり、糖化の時には糖化力が強いモルトは必要不可欠です。
日本の定義では”発芽させた穀物を使って糖化させる”ことになるのでもろに麦芽のことです。糖化には穀物(麦芽)が必須で、麹などを使ってしまうと麦焼酎になってしまいます。必ず麦芽は普通に使います。
シングルグレーンとブレンデッドグレーン
グレーンウイスキーにも、シングルグレーンウイスキーとブレンデッドグレーンウイスキーがあります。
例えば、知多蒸溜所のみで作られたグレーンはシングルグレーンウイスキーと表記されています。もちろん日本では法律も定義もありませんので、スコッチウイスキーの定義に沿った表示の方法です。

富士もシングルグレーンウイスキーとラベルに書いてありますし、カフェグレーンに関してはラベルには書いてありませんが、シングルグレーンウイスキーであり、日本のみで作ったジャパニーズウイスキーになるそうです。
グレーンウイスキーの製造にどのような蒸留器を使うかは、スコットランドも日本も特に指定はありません。
だから、モルト以外の穀物を単式蒸留器(ポットスチル)で蒸留しても構いません。その代わりコストがかかり、大量生産ができないのです。
連続式蒸留器の利点は、やはり大量生産に向いているところです。
単式蒸留器で蒸留されたグレーンウイスキーはないと考えがちなんですが、これは落とし穴で、バーボンは基本的に日本やスコットランドから見るとグレーンウイスキーになります。
ですから、バーボンをポットスチルを使って蒸留しているところを探せばよいのです。ウッドフォードリザーブ蒸留所やウィレット蒸留所、あとはテキサスでバーボンを作ってるヴァルコネス蒸留所はポットスチルを使っています。
本などを読むと単式蒸留器でグレーンウイスキーを作っているとこはありませんと断言していることがありますが、そんなことなくアメリカにはちょこちょこありますし、連続式蒸留器が出来る前は、ポットスチルでもモルト以外の穀物を蒸留してブレンデットウイスキーが作られていました。
だいたい19世紀の末頃まではそういう作り方はかなり一般的だったようです。
今度は逆にモルト原料100%を連続式蒸留機で蒸留することについてですが、それも昔からあり1800年代はかなり一般的にやられていたようです。
当時はそれでもシングルモルトという、表記ができましたが法律が変わったため、自然になくなっていったようです。

現在は一部の蒸留所で連続式蒸留器を使いモルト原酒を造っています。
有名なのが鹿のマークでお馴染みの「ロッホローモンド」です。シングルグレーンとは書いてありませんがモルト原酒のみ使用です。
Finest Malt Barley(ファイネストモルトバーレイ)と書いてあり、大麦麦芽しか使われてませんよということです。
こういうのはシングルモルトを飲んでるいる方でも楽しむことができるかと思います。
◆ロッホローモンド
スコットランドのグレーンはリーズナブル?
最後にスコットランドの代表的なグレン蒸留所とそれグレーンがどれくらいリーズナブルかを紹介します。

まずはウイリアムグラントサンズ社が所有してるガーヴァン蒸留所。
これはあのグレンフィリックを所有してる会社です。
ここが作るものはブレンデットウイスキーの原酒になりますが、ブレンデットウイスキーの「グランツ」などは馴染みが無いと思います。
オフィシャルからは発売していませんが、例えば「ガーヴァン」ハートブラザーズというボトラーズから発売してるものは1994年蒸留の23年物が11980円で売られています。
ちなみにスコットランドは基本的に小麦を原料としてる場合が多く、昔はトウモロコシを使っていましたが、とうもろこしはアメリカからの輸入になり、とうもろこしの価格が上がってきた時に地元でとれる小麦へ変わっていきました。

次に「キャメロンブリッジ蒸留所」。巨大帝国ディアジオの心臓部と言われています。
年間15,000万L ぐらいはスピリッツを蒸留していますが、そのうち10,000万Lぐらいはグレーンウイスキーを作っています。
10,000万Lという数字がどれくらいすごいかというと、スコットランド最大の生産量を誇るシングルモルトの蒸留所(ザグリンリベット蒸留所)、でも大体2,100万Lぐらいですので年間に軽くその5倍程度になります。
すごい量ですが、それもそのはずでジョニーウォーカー、Black and white 、J & B、オールドパーなどディアジオが所有するブレンデットウイスキーのほとんどに使われていると思います。
キャメロンブリッジはちゃんと定番品も出していて、アルコール度数は40%のコスパのいいシングルグレーンです。
ただし、このオフィシャルのものはそんなにお勧めするものではありません。
例えばボトラーズのオールドパティキュラーより「キャメロンブリッジ28年」アルコール度数52.6%が13,550円で販売されています。
超熟のものを買ったほうがグレーンのよさは分かると思いますし、普段のみに気軽に飲む感じでのおススメです。
後は「ロッホローモンド」のシングルグレーン。これはモルト原酒100%なので、また全然違った味わいでどちらかというとシングルモルトに近い味わいです。大麦麦芽しか使ってないです。
ここはシングルモルトも作っているので、この蒸留所だけでブレンデットウイスキーが作れます。そういうところはかなり珍しく、日本では富士御殿場蒸溜所などです。
あとは白州蒸溜所です。グレーンウイスキーを作ってるので、一つの蒸留所内でブレンドするシングルブレンデッドウィスキーになります。
昔はシングルウイスキーなんていう呼び方もありました。
次にストラスクライド蒸留所、ストラスクライドはシーバスブラザーズペルノリカール社です。シバスリーガルの原酒を作っている蒸留所でオフィシャルには特にでていません。
例えばクーパーズチョイスというボトラーズより「ストラスクライド26年」1993年蒸留、アルコール度数52.5°で11,980円があります。
ブレンデットウイスキーのファンの方はたくさんいらっしゃると思います。
キーモルトになった蒸留所の原酒を飲むことはあると思いますが、グレーンを飲むことはあまりないと思いますので面白いのではないかなと思います。

やはり、閉鎖蒸留所の原酒が結構安く、ディアジオはポートダンダス蒸溜所を2000年代に入ってから閉めていますが、そこの閉鎖蒸留所の原酒で、例えば「クーパーズチョイス ポートダンダス20年」は1999年蒸留、アルコール度数46°で9820円で買えます。「クーパーズチョイス カンバス24年」アルコール度数51.5°で12580円と安いです。
原料による味の違いを体感するにはすごくグレーンウイスキーは面白いと思います。
ちょっと、グレーンウイスキーは範囲が広すぎて分かりにくく、しかも中の配合、比率は公表されていません。
バーボンの場合だったらマッシュミルといい、穀物の構成比率を公開してるところがあります。
スコッチウイスキーやジャパニーズウイスキーの業界では配合などを公表しているところはほとんどないです。
だけど何を主にしてるかは公表していて、知多だったらとうもろこしだったりスコッチウイスキーだったら結構小麦を使ってます。その他、アメリカンウイスキーやカナディアンウイスキーでは、ライ麦を主体にしたウイスキーもあります。
そういう意味ではいろんな穀物を使ったウイスキーの種類があるのはやっぱりアメリカンウイスキーです。
◆ストラスクライド 27年 1992 44.3%
◆ポートダンダス30年 ダグラスレイン 1990 40.4%
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まとめ
このようにグレーンウィスキーはモルトウィスキーに比べると知名度は低く、ブレンデッドウィスキーを作るためのものというイメージもあるようです。
ですが、グレーンウィスキーは単体でも十分に個性があって楽しめるウィスキーですので、モルトウィスキーやブレンデッドだけじゃなくグレーンウィスキーも試してみましょう。
もちろんウィスキーを楽しむならモルトウィスキーもいいですが、深く知るにはグレーンウィスキーを知っておくのもいいですよ!


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