
発酵した素材からアルコール成分や揮発成分を取り出す蒸留は、ウイスキーを作る過程において非常に重要となる作業です。
この作業を行うのに欠かせない蒸留器には種類があります。
味の決め手となる蒸留器の種類や豆知識を知っておけば、ウイスキーをもっと楽しむためのスパイスとなるに違いありません!
蒸留は単式蒸留と連続式蒸留の2種類
まず蒸留とは何か?と思われる方へ。
蒸留とは液体を熱して、蒸発したもの(蒸気)を冷やすことで、より純度の高い液体を作ること。
お酒における蒸留は、アルコール度数を高めるために行われる工程です。
水とアルコールはそれぞれ沸点が違い、この沸点の違いを利用することでアルコールだけを蒸発させることができ、元の液体よりアルコール度数を高めた液体を作ることができます。
度数が高まることによって、より保存性が高いお酒となります。
ざっくりいうと…
一回ずつしか蒸留ができないアナログな方法⇒単式蒸留
連続的に蒸留ができるハイテクな方法⇒連続式蒸留です。
ハンドメイドとマシンメイドみたいなもので、どちらが良いとか悪いとか言うことではありません。それぞれ特徴が異なるので、造るお酒によって使い分けられます。

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原料の風味が活きる単式蒸留器
アルコール度数は高めつつ、原料の風味も残した単式蒸留をするのに用いる蒸留器です。

銅製のポットスチルを使用する単式蒸留器は、巨大なフラスコを思わせる形をしている蒸留器です。
1回ずつ蒸留した液体を取り出さなければならないのが特徴で、2回から3回ほど作業を繰り返した後に次ぎの工程へ進みます。
単式蒸留によって一度に作り出せるアルコール度数は、元の液体の約3倍程度。
アルコール度数が7%から8%の発酵液は、1回目の蒸留で20%ほどになり、2回目で70%前後となります。
このままでは度が高すぎ樽で熟成させるには不向きなため、熟成前に水で薄めて度数を調整するのが一般的です。作り出すお酒の度数によって、原料の風味の残り具合が変わり、より度数が低い方が原料の風味は残ります。
原料の風味を残す伝統的かつ職人的なマシンでもあります。
単式蒸留器によってできるウイスキーの種類は、モルトウイスキーやシングルポットスチルウイスキーなどです。
ポットスチルで作られる【モルトウイスキー】
モルトウイスキーは単式蒸留器(ポットスチル)を使った伝統的な方法で蒸留しています。複数の蒸留器を通すことで2~3回蒸留してアルコール度数を高めていきます。

モルトウイスキーの原料は大麦麦芽(モルト)のみなので、香りが豊富で個性的な味わいなのが特徴。モルトウイスキーの中でも、単一の蒸留所で造られた複数の原酒を混ぜ合わせたものがシングルモルトと呼ばれています。
👉モルトウイスキーができるまでの製造工程について手順を解説します
効率的にウイスキーを作る連続式蒸留機
原料の風味はあまり残さず、効率的に高アルコール度数のお酒を作る連続式蒸留に用いるのが、連続式蒸留機(コラムスチル、パテントスチルとも呼ばれる)です。
単式蒸留器がアナログなマシンであるのに対し、連続蒸留機は自動で何回も蒸留を繰り返せるハイテクなマシンです。
最初に発酵液と蒸気を入れれば良いだけなので、効率的かつ短時間で大量のウイスキーを作れます。

巨大なマシンの中は棚状に仕切られており、層を通るごとに蒸留されるため、90%を超える高アルコールを作り出すことが可能です。
そのため原料の風味があまり残らず、すっきりとした味わいのウイスキーができます。
19世紀から使用され始めたもので、単式蒸留に比べ新しくて機械的な蒸留方法です。
(蒸留”器”ではなく蒸留”機”であるのもそのため)
連続蒸留器で作られるウイスキーの種類は、バーボンやアメリカンウイスキー、カナディアンなどです。
大量生産に適しているため、比較的リーズナブルなウイスキーが多いです。
連続式蒸留機で作られる【グレーンウイスキー】
グレーンウイスキーは連続式蒸留機(コラムスチル)で造られるウイスキーです。効率よく蒸留ができる連続式蒸留機の中には、単式蒸留器がいくつも入っているようなものを想像してください。連続式蒸留器の内部で単式蒸留器の働きを何度も行うことができるため、短期間で大量に蒸留することが可能です。

グレーンウイスキーの原料は、モルトの他に小麦やトウモロコシなど様々。香りはあまりなく、クリーンな酒質になるのが特徴です。グレーン単体で販売されることもありますが、大半はブレンデッドに用いられるのが主です。
👉グレーン ウィスキーとはどんなウィスキー?原料や製法の違いを解説
蒸留器の豆知識
スコッチのブレンデッドウイスキーを作る場合、モルトウイスキーとグレーンウイスキーを各々異なる蒸留所から購入して組み合わせるのが一般的でしょう。
ところが自社の原酒のみでブレンデッドウイスキーを実現できるよう、単式蒸留器と連続蒸留機の両方を所有している会社が日本にあるのです!
その蒸留機こそが、カフェ式連続蒸留機です。カフェスチールと呼ばれニッカウヰスキー創設者の竹鶴政孝さんが欲しくてしょうがなかったものです。
当時、カフェスチルは非常に高くて、ニッカウヰスキーでは手が出せませんでした。
その当時の筆頭株主だった今のアサヒビールの会長が竹鶴さんの思いをくみ取り設置することとなりました。
※正確には旭酒造がカフェ式連続式蒸留機をニッカに設置し、ニッカが生産したグレーンウイスキーを購入する形としました。そして念願のカフェ式蒸留機が設置され、ブラックニッカが誕生しました。

連続蒸留器は1800年代に開発された古いモデルで、現在普及しているものよりも生産効率が良くありません。
しかし旧式の蒸留器であるからこそクリーンな味わいになり過ぎず、原料の風味をほんのりを感じられるウイスキーに仕上げられます。
これもモノづくりの国である日本ブランドならではのこだわりです。
ブレンデッドウイスキーは、複数の蒸留所のモルトウイスキーとグレーンウイスキーを混ぜ合わせたものをいいます。味わいや香りのバランスがよく、飲みやすくなるのが特徴。世に出回っているウイスキーの9割以上がブレンデッドウイスキーです。
👉産地や銘柄で味わいが変わるブレンデッドウィスキーの特徴や人気種類
まとめ
ウイスキーの蒸留器には単式蒸留器と連続蒸留器の2種類があります。
どちらも効率や仕上がりなどが異なり、どのようなお酒を求めるかにより使い分けられているのが特徴です。
こういった知識はお酒を味わう上では必要ではありませんが、知っておくと味わい方は変わることでしょう。これからはウイスキーの味や香りだけでなく、蒸留方法も気にしながらお酒を楽しんでみてください。


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